太陽の牙ダグラム見ました
ななまる君です。
今週、4日かけて「太陽の牙ダグラム」DVDを見ました。
15巻75話30時間の超大作。
本放送は「機動戦士ガンダム」の少しあと、
1981年から83年だそうで
話中1982年の日航DC8羽田沖墜落事故の話題がこっそり挟まっています。
先週「ガンダム」はそれまでのアニメと違って
「敵」=「悪」という構図で描かれなくなったと書きましたが
それからわずか後の「ダグラム」は上記の構図の極北まで一気に突き進みました。
話はs.c.152年
地球からワームホールを通って行ける植民星”デロイヤ”が
地球連邦からの「独立」を勝ち取るまでを
「太陽の牙」と後々名付けられるゲリラの若者たちを中心として
デロイヤ独立派ゲリラ、地球連邦内の各自治州政府、
地球系巨大資本、デロイヤ地元資本等様々な立場の人々の
複雑な駆け引きを描いていきます。
ロボットアニメですので
作中”コンバットアーマー”と呼ばれるロボットが登場し、
戦闘の中心(扱いは一人乗り戦車といったところ)になりますが
話の中心ではありません。
話の中心は様々な立場の「大人たち」と
「ゲリラの少年・少女たち」です。
ベトナム戦争などのゲリラ戦争に範をとった
戦争のリアルな現実をいきなり見せつけられ
当時の視聴者は相当面くらったと思います。
次回予告の最後に
Not even justice I want to get truth
(正義なんてない 真実が欲しい)
とナレーションが入ります。
「正義」は立場で異なるものでそんないい加減な概念に
立っていては真実が見えなくなると
ななまるは思います。
話中様々な立場の登場人物が現れますが
「正義」なんて甘っちょろい事を言うものは一人もいません。
「理想」を持って今いる位置からいかにその理想に向かって進むか
正攻法から汚い方法まで使って考える者。
(ドナン=カシム、サマリン博士)
「欲」にまみれその欲を満たすことを
謀略や欺瞞によって進めようとするもの。
(ラコック補佐官)
自分たちが蔑まれていることを知っていて
「金」や「名誉」で見返してやりたいと考えるもの。
(ガルシア大佐)
理想を持っていたものの自らの弱さで道を踏み外し
仲間や好いてくれた女性を裏切り身を亡ぼすもの。
(デスタン)
「理想」を求めて他のものの手先になったものの
最後に自分の追い求める本当の「理想」を思い出したが
改めるには時間が足りなかったもの。
(フォン=シュタイン大佐)
そんな「大人」たちの姿を見て同調し、また、反発し
自らの進むべき道を迷うもの・突き進むもの。
(太陽の牙メンバー、主人公クリン=カシム)
戦争、戦いというものは一本道ではなく様々な要素が
複雑に絡み合って
たとえ主人公であっても自分の思った通りに
(又は視聴者の思った通りに)なるわけではないということを
思い知らされる・・・
そんな話です。
作画の質の悪さや時間不足と思われるセリフの不統一
(コンバットアーマーを初期設定のアイアンコンバットと呼ぶ等)
今のアニメと比べるとちゃんとしてないと感じられると思います。
とにかく登場人物が地味な薄ら禿のおっさんばっかりです。
かわいい女の子は途中で仲間になるリタ位です。
そのリタも心が痛くなる戦争の真実の一つですが。
でも
ここまで戦争の多面性と痛み、
人々の活き活きとした姿を描いた作品を知りません。
今、調べたらDMMでレンタルできるみたいです。
自粛で家にいらっしゃる間に
とんでもなく長いこのデロイヤ独立戦争に立ち会ってみませんか。